「そもそも再建築不可物件とは何が問題なのだろう?」
「再建築不可でもどうにか活用できる方法はないのかな?」
所有する土地が再建築不可だとわかり、このようなお悩みを抱えている方もおおいのではないでしょうか。
もともと把握していたならばまだしも、相続した土地が再建築不可だと事後に判明したという方は非常に困惑していることでしょう。
結論として、再建築不可物件でも法律の抜け道をうまく利用できれば、リフォームや建て替えをして住みやすくすることが可能です。
そこで本記事では、再建築不可になる2通りのケースを説明したうえで、それぞれを活用する裏ワザを次のパターンにわけて紹介します。
- 再建築不可でもそのまま活用できるようになる裏ワザ
- 接道義務による再建築不可物件が建て替え可能になる裏ワザと法律の抜け道
- 市街化調整区域内の土地で住宅を再建築・リフォームする裏ワザ
一般人では活用が困難になりやすい理由と法律や建築関係にさほど明るくない場合でも損せずスピーディーに現金化できる方法も解説していますので、再建築不可物件を扱いあぐねている方はぜひ参考にしてください。
なお、専門の不動産買取業者に依頼すれば、再建築不可の物件でも積極的に買い取ってもらえます。
再建築不可物件の買取・再生・活用に強い「訳あり物件買取プロ」では、完全無料で価格査定を受けることが可能です。強引な営業活動もないので、気軽に相談してみてください。
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そもそも再建築不可になるのはどのような土地か
再建築不可物件の活用法について考える前に、まず用語の理解を深めることから始めましょう。
前提として、再建築不可物件とは、ひとたび既存の建物を取り壊すと二度と新たな建築物を建てられないという土地です。現行の建築基準法上の何らかの問題に抵触しているがゆえに、再建築が許可されない土地を指します。
主に、下記の要件を2つとも満たすケースが再建築不可となります。
- 建築基準法上の接道義務を満たしていない
- 市街化調整区域内にある
上記のほかにも、17万ボルト以上の高圧電線下にある土地とその周辺にも建築制限があります。
しかし、電線を要因とする再建築不可は該当するケースが接道義務や市街化調整区域に比べて多くはありません。そのため、高圧電線下にある物件は、どちらかというと嫌悪施設としての側面が強いでしょう。
そこで今回は、上記にリストアップした2つの規定についてくわしくみていきます。ご自身が所有する土地は、上記の2つの規定のうちどちらに該当するのかを確認してみてください。
建築基準法上の接道義務を満たしていない
再建築不可となる条件の1つ目は、土地が「接道義務」を満たしているかどうか。
接道義務とは「建物を建てるには、土地が道路に基準通り接していないといけない」という規定のこと。建築基準法上で以下のように示されています。
第四十三条 建築物の敷地は、道路(次に掲げるものを除く。第四十四条第一項を除き、以下同じ。)に二メートル以上接しなければならない。
引用:基準法第43条|e-Gov法令検索
なお、上記の条文に記載されている「道路」とは、道路法における道路のうち例外規定を除き幅員が4m以上あるもののみです。
第四十二条 この章の規定において「道路」とは、次の各号のいずれかに該当する幅員四メートル(特定行政庁がその地方の気候若しくは風土の特殊性又は土地の状況により必要と認めて都道府県都市計画審議会の議を経て指定する区域内においては、六メートル。次項及び第三項において同じ。)以上のもの(地下におけるものを除く。)をいう。
引用:建築基準法第43条|e-Gov法令検索
建築基準法で定められる上記の規定に該当する再建築不可物件の具体例には、次のようなケースがあります。
接道義務は、火災や災害などの緊急時におけるスムーズな救助活動と被害の沈静化を目指すうえで欠かせないルールです。道幅が狭すぎると、消防車両の侵入を阻む原因になるため、命の安全を最優先にすることを目的とし、1950年以降に追加された規定されました。
よって、昭和初期に建てられた古い家屋や建物は、再建築不可物件に該当する可能性が高いといえます。なお、再建築不可となる要因のうち、接道義務違反が最も件数が多いケースです。
市街化調整区域内にある
再建築不可となる条件の2つ目は「市街化調整区域」の指定の有無です。市街化調整区域とは、市街地の無計画な拡大による景観の不調和および環境破壊を防ぐために、市街化を抑制された区画を指します。
第七条 (前略)市街化調整区域は、市街化を抑制すべき区域とする。
引用:都市計画法第7条|e-Gov法令検索
そのため、市街化調整区域には家屋の厳しい建築制限が課せられており、例外を除き再建築不可の土地となります。自身の所有する土地が市街化調整地域に該当するかどうかは、次の2通りの方法で調べることが可能です。
- 物件資料の「用途地域」欄の記載をチェックする
- 自治体のホームページで公表されている「都市計画図」を検索する
特定の物件の当否を調べたい場合は、物件資料の用途地域の項目を確認すれば、市街化調整区域にある建物かを簡単に調べられます。
一方、特定のエリア全体の情報を知りたいときは、自治体ごとの都市計画図(都市計画マップ)を調べてください。自治体によってはインターネット上で都市計画図を公開していない場合もあるため、わかりづらいときは都市計画・政策やまちづくりを担当する課に問い合わせましょう。
市街化調整区域内にある再建築不可物件については、以下の記事で詳しく解説しているので、こちらも参考にしてください。
再建築不可物件を賢く活用する裏ワザ
再建築不可の土地は、住むにも運用するにも使いにくいとして、個人の買い手から避けられがちです。しかし、実は活用できるようになる裏ワザが存在します。
再建築不可物件をそのまま使えるようにする裏ワザは以下の3つです。
- 建築確認申請が不要な範囲でリフォームを行う
- 修繕して賃貸収益物件として活用する
- 建物を解体して駐車場などとして活用する
再建築不可でも、土地や家屋に可能な範囲で手を加え、賢く活用できれば収益に繋げることもできます。上記の裏技の詳細をお伝えしますので、ご希望の用途に合わせて検討してみてください。
建築確認申請が不要な範囲でリフォームを行う
再建築不可物件への居住を考えている方は、リフォームして住みやすくしてみてはいかがでしょうか。増築や改築に制限はかかるとはいえ、条件によっては不可能ではありません。
再建築不可物件にリフォーム工事を施せるかどうかを決めるポイントになるのは、建築確認の要否です。建築確認とは、予定されている施工内容が建築基準法の規定に違反していないかをチェックするための手続きを指します。
法律上、リフォームが「大規模な工事」に当てはまる場合は各自治体へ建築確認の申請が必要です。
第六条 建築主は、第一号から第三号までに掲げる建築物を建築しようとする場合(中略)確認の申請書を提出して建築主事の確認を受け、確認済証の交付を受けなければならない。
引用:建築基準法|e-Gov法令検索
ここでいう大規模なリフォームとは、工事範囲が建築物の躯体部分の1/2以上の増築や模様替えのことです。再建築不可物件は建築基準法に適合しないため、大規模なリフォームを申請しても基本的に自治体の許可がおりません。つまりリフォームの着工ができないということです。
また、再建築不可物件は接道義務を果たしていないことが多く、工事車両の搬入出が困難なため、リフォームにかかるコストが高騰する傾向があります。
地域によって異なるため一概にはいえませんが、少なくとも1千万円程度はかかると見込んでおいてください。
老朽化の程度や立地的な理由から工事に困難を伴う場合は、新築と同等の費用がかかることもあるため、リフォームする価値がある物件なのかをよく検討することが大切です。
再建築不可物件を本当にリフォームすべきかどうかは、以下の記事で詳しく解説しているので気になる方は参考にしてください。
4号建築物は建築確認なしでフルリフォーム可能
ちなみに、再建築不可の土地だとしても、その敷地内に建っている物件が「4号建築物」であればリフォーム工事が可能です。
4号建築物とは、現行の建築基準法6条第4号に規定される物件を指します。具体的にいうと、木造2階建て以下で延べ面積500m2以下、もしくは平屋で延べ面積200m2以下の建物が4号建築物に該当する物件です。
4号建築物は、建築士が設計および工事の監理を行っている場合に建築申請が免除されます。つまり、4号に該当する再建築不可物件の大規模なDIYは不可能ですが、建築士に正式に依頼した工事であればフルリフォームでも問題ありません。
ただし、4号建築物のルールを利用した裏技が使えるのは2025年になるまでです。建築基準法の改正により2025年から規定が変わり、従前の4号の区分が削除されることが決まりました。
一部を除く現在の4号建築物は、新設される「新2号建築物」に編入され、建築確認の申請が必要になります。
修繕して賃貸収益物件として活用する
先述のとおり、再建築不可物件であっても、大規模な修繕・模様替えでなければリフォームが可能です。可能な範囲で修繕を施し、第三者に部屋を貸し出してしまえば、再建築不可でも定期的な収益が見込めるでしょう。
ただし、賃貸物件にリフォームしたからといって、赤字リスクがつきまといますので、必ずしも収益化できるとは限りません。
不動産経営に関する知識やノウハウがなければ、安定的に収益化できないケースもめずらしくありません。特に、接道義務を満たしていない再建築不可物件は、道路付けが悪い傾向にあります。住みやすさに難がある賃貸物件は、入居者の確保が難しいでしょう。
また、前の章でも触れましたが、一般的に再建築不可の敷地内にある建物のリフォームには高額な費用がかかります。賃貸に出しても収益化できずに赤字が続けば、経営が立ち行かなくなるばかりか、初期費用の回収すら困難です。
再建築不可物件を貸し出せる形に整えて収益化をねらう裏ワザは、賃貸需要が高い好立地である場合を除き、やめておいたほうが得策でしょう。
建物を解体して駐車場などとして活用する
リフォームや再建築が難しい土地は、使い道が一切ないと思われがちです。しかし、物件を再建築しない方向で活用する方法を考えるのも一つの手だといえます。
再建築不可物件を解体・撤去して駐車場にすれば、建築物が建てられない土地でも収益化することが可能です。
駐車場の設置は、もともと建っていた家屋を取り壊して整地や舗装するだけでよく、改築・増築やリフォームより初期費用が安い傾向にあります。車が入れるだけのスペースがあれば設置でき、建築物がないため災害等による被害の心配もさほどありません。
駐車場には、主に次の2種類があります。
- コインパーキング
- 月極駐車場
コインパーキングは不特定多数の出入り客に時間制で駐車場を貸し、収益化する方法です。料金収受用の機械やロック・ゲートなどの機器が必要であり、自己管理と専門業者への委託の2通りの経営手段があります。
一方、月極駐車場では、固定料金を受けとり、特定の契約のみに区画を貸し出すことで安定した収益をねらいます。契約者を見つけることが必須ではありますが、特殊な機器の設置が必要なく、管理も容易なため、コインパーキングよりさらに初期費用が安く済むでしょう。
ただ、事業の始めやすさと収益化できるかどうかはまったくの別問題です。どのスタイルであれ、駐車場経営による収益化には利用者の確保が欠かせません。
しかし、もともと車両の進入が困難なことを主な理由に再建築不可となっている土地なので、よほど立地条件がよくなければ、利用者や契約者が見つかりにくいといえます。
また、駐車場経営は、タイプによっては管理に手間がかかる点も問題です。管理会社に依頼すれば負担は軽減しますが、そのぶんコストがかかります。
さらに、駐車場などにした場合、税負担が大きくなるのもデメリットです。家屋を解体して住宅以外の用途に使用すると、固定資産税に適用されていた「小規模宅地等の特例」が受けられなくなり、納税額が最大6倍もの額に跳ね上がります。
再建築不可物件を建て替え可能にする裏ワザ・抜け道
再建築不可物件をそのままの状態で利活用して収益化するには、需要を見極める知識と経験が必要です。ですが実は、再建築における接道義務の抜け道を知っていれば、建て替えを可能にして通常の不動産として活用することが可能になります。
再建築不可を建て替え可能にする裏ワザは以下の5つです。
- 隣地の一部を買い取り接道義務を満たす
- 建築確認申請時に隣地の一部を借りる
- 敷地を後退させて前面道路の幅を4m以上にする(セットバック)
- 但し書き申請を出す
- 位置指定道路の申請を出す
裏ワザのやり方をくわしくみていきましょう。
隣地の一部を買い取り接道義務を満たす
接道義務違反から再建築不可となっているなら、建築基準を満たせるようにすれば審査する上での問題はなくなります。つまり、接道する間口が狭くて再建築ができない土地は、隣地の一部を買い取って必要な範囲を確保すればよいのです。
建築基準法上の道路に繋がるルートがどれほど細くても、新たに土地を買って継ぎ足せば、旗竿地や袋状の土地でも活用できるようになるでしょう。
具体例を挙げると、間口が1.8mなら、隣地から0.2m分を買い取ることで再建築できるようになります。隣地の一部を買い足せば、間口の問題が解決するだけではなく、土地自体も広くなって活用しやすくなるため一石二鳥です。
とはいえ、隣地所有者がすんなりと売却に応じるとは限りません。何の前触れもなくいきなり交渉すると、トラブルに発展することも多々あります。隣地の買取交渉におけるトラブルを最小限に抑えるためには、近隣住民との継続的かつ良好な関係構築が不可欠です。
しかも、隣地の一部を買収できたとして、その土地が空き地でない場合は解体・整地のための工事が必要であり、かかるコストは買取金額だけではありません。
なお、双方の合意があれば、所有する土地を交換する方法もあります。等価交換であれば、譲渡税がかからないため、節税対策として有効です。
参考:No.3511 土地建物と土地を等価で交換したとき|国税庁
しかし、1円でも金銭のやり取りをともなう取引があった場合は税制上の特例が適用されなくなるため、節税にならないことに注意してください。
建築確認申請時に隣地の一部を借りる
隣地の買取が難しい場合は、借りるという手段もあります。再建築不可物件のネックは、建築確認に通らないことです。逆にいえば、審査時に条件を満たしてさえいれば問題ないということでもあります。
極端な話ではありますが、隣地を所有者から一時的に借り受け、建築確認の申請時だけでも間口が2mになっていれば、審査を通過できるということです。建築確認が済んだあとは、賃料を支払って元の所有者に返還することで、コストも最小限に抑えられます。
ただし、自治体によっては、土地を借りるだけでは接道義務を満たしているとは見なされず、建築確認の審査に通らないかもしれません。法律の抜け道が利用できるかどうか、事前にお住まいの自治体の建築確認要件を確認し、見極めておきましょう。
また、隣地を借りて建築審査を通す裏ワザを使うためには、使用貸借契約を正式に結ぶ必要があります。一時的に借りるだけでは、この先もリフォームをはじめとする何らかの工事を行うたびに貸借の手続きを行わなければならず、手間がかかります。
かといって、将来的な工事に備えて隣地を借り続けると賃料がかさむでしょう。加えて、買い取る方法と同様、隣人とのトラブルに発展しやすい点も問題です。
敷地を後退させて前面道路の幅を4m以上にする(セットバック)
再建築不可の敷地の一部を行政に明け渡し、建築基準法第42条に規定される道路に組み込んでもらうことで、建築基準法上の道路の基準を補完する手もあります。所有する土地の範囲が後退することから「セットバック」とも呼ばれる裏ワザです。
セットバックで建物から道路までの幅を4m以内にしてしまえば、接道義務を満たせるため、再建築のハードルがなくなります。セットバックの具体的な方法は、次の2通りです。
- 自己所有する土地のみセットバックする
- 対面する住宅地と一緒にセットバックする
対面が崖になっていたり水路があったりする場合、単一の土地のみでセットバックしなければなりません。道路までの距離を単独で4m以内にしなければならないため、セットバック後には土地が狭くなります。
土地の向かいに住宅がある場合は、協力できれば後退する幅がそれぞれ半分ずつで済むでしょう。しかし、行政命令ではないセットバックに応じるかどうかは、対面の物件を所有する住民の意向次第です。向かいの住民がセットバックに応じてくれなければ、後退する範囲を分け合う手段は使えません。
また、セットバックによって接道義務が満たせても、必ずしも再建築できるようになるとは限らない点も注意してください。敷地の一部が道路になって狭まることで、建ぺい率や容積率が変わるため、既存不適格物件になってしまうおそれがあるためです。
既存不適格物件とは、現行の建築基準法では適格ではない建築物のことを指します。建築基準法の該当部分は、下記のとおりです。
2 この法律又はこれに基づく命令若しくは条例の規定の施行又は適用の際現に存する建築物若しくはその敷地又は現に建築、修繕若しくは模様替の工事中の建築物若しくはその敷地がこれらの規定に適合せず、又はこれらの規定に適合しない部分を有する場合においては、当該建築物、建築物の敷地又は建築物若しくはその敷地の部分に対しては、当該規定は、適用しない。
引用:建築基準法第3条第2項|e-Gov法令検索
過去に適用されていた建築基準法の規定に準じて作られた物件を指すことが多いのですが、無計画なセットバックによる土地の狭窄によっても既存不適格になる可能性があります。既存不適格物件になってしまうと、再建築に制限がかかるばかりか、行政から是正命令が出される場合もあります。
第九条 特定行政庁は、建築基準法令の規定又はこの法律の規定に基づく許可に付した条件に違反した建築物又は建築物の敷地については、(中略)当該建築物の除却、移転、改築、増築、修繕、模様替、使用禁止、使用制限その他これらの規定又は条件に対する違反を是正するために必要な措置をとることを命ずることができる。
引用:建築基準法第9条|e-Gov法令検索
セットバックが原因で既存不適格物件になってしまっては本末転倒ですので、専門の不動産業者に相談し工事する前に要件を確認して、確実に再建築できるように計画することが重要です。
セットバックの費用などを以下の記事で詳しく解説しているので、参考にしてください。
但し書き申請を出す
再建築不可のままで建築確認の審査をクリアもしくは免除できるようにするのは、条件が厳しい傾向にあります。
そのような状況を踏まえ、建築基準法には、どうしても基準を満たせないケースに向け、救済措置として第43条による「但し書き」の規定があります。
2 前項(接道義務)の規定は、次の各号のいずれかに該当する建築物については、適用しない。〜(中略)〜
二 その敷地の周囲に広い空地を有する建築物その他の国土交通省令で定める基準に適合する建築物で、特定行政庁が交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めて建築審査会の同意を得て許可したもの
引用:建築基準法第43条第2項第2号|e-Gov法令検索
要するに、但し書き申請をして許可を得れば、接道義務を満たせなくても再建築が可能になります。
但し書き申請が可能かどうかの要件を簡潔にまとめると、以下の3つです。
- 周辺に大きな空き地や広い道がある
- 自治体の許可を得る
- 建築審査会の審査または包括同意基準に通過する
上記の通り、再建築不可でも、近隣に空き地や規模の大きな公園があり自治体に認められた場合は、但し書き申請ができます。周辺に広い空間があれば、道幅が4mに満たない道路であっても消火・救助等の活動の難しさをカバーできるためです。
ただ、近くに広範な土地があるだけでは有事のときでも安心とは言い切れないため、自治体(特別行政庁)に衛生面や交通面も踏まえた安全性を認められなければなりません。
但し書きをして申請した施工内容は「建築審査会」の審査を経て、工事の可否が決定される流れです。なお、建築審査会とは、建築基準法の例外措置の適用を見極める組織のことであり、有識者から構成員が選出されます。
しかし、工事のたび建築審査会を通すのは、申請者・行政の双方にとって煩雑です。そのため、各自治体では建築審査会の決定と同等の効力を持つ「包括同意基準」を定め、要望や建築物の実情を合理的に判断することで審査を簡略化しています。
包括同意基準による判断が難しい場合は「個別同意基準」に照らし合わせたうえ、建築審査会で審議されます。許可されるかどうかは自治体の判断に委ねられるため、但し書き申請をすれば必ず再建築が可能になるわけではないことを理解しておかなければなりません。
また、許可の基準は自治体ごとに異なるだけではなく、状況によっても変化します。但し書きによる再建築やリフォームの申請をする際には、事前に管轄の自治体に問い合わせることがおすすめです。
位置指定道路の申請を出す
建物の前にある道幅4m以上の通路に間口が2m以上接していても、原則として建築基準法上の道路に該当しなければ、接道義務を果たしているとはいえません。つまり、私道に囲まれた土地および建築物は、再建築不可です。
ですが、土地と接している私道が公道と見なさなれさえすれば、接道義務を満たせます。公道と法律で同様の扱いとなる私道などを「位置指定道路」といい、建築基準法における規定は下記のとおりです。
五 土地を建築物の敷地として利用するため、道路法、都市計画法、土地区画整理法、都市再開発法、新都市基盤整備法、大都市地域における住宅及び住宅地の供給の促進に関する特別措置法又は密集市街地整備法によらないで築造する政令で定める基準に適合する道で、これを築造しようとする者が特定行政庁からその位置の指定を受けたもの
引用:建築基準法第42条第1項第5号|e-Gov法令検索
要するに、位置指定道路とは、本来の法律の規定とは別に、自治体(特定行政庁)が特別に位置を指定した道路ということです。位置指定道路として認められる基準は「建築基準法施行令」の第144条の4の1項により、以下のように規定されています。
- 土地の両端がほかの道路に接していること
- 道路が交差・接続または屈曲する部分には隅切りを施すこと
- 道路にぬかるみにならない処置がなされていること
- 縦断勾配が12%以下かつ階段になっていないこと
- 道路および接する敷地内に排水設備を設置していること
参考:建築基準法施行令第144条の4の1項|e-Gov法令検索
上記1番については、通路が行き止まりになっている場合でも、一定条件を満たすことで袋路状道路と認定されて接道義務を果たせます。隅切りは接道部分の角から2mの二等辺三角形となる部分に施す決まりですが、内角が120度以上になる場合は必要ありません。
3番のぬかるみ対策としては、砂や砂利を敷きつめることなどが具体例です。勾配(こうばい)に関する規定は安全の観点から設けられているため、自治体が問題ないと認めた場合は必須要件ではありません。また、滞りなく排水できるよう、側溝や街渠(がいきょ)などの設備を作りましょう。
なお、位置指定道路の許可を申請する際は、私道の所有者および共用している近隣住民と話し合い、合意を得る必要があります。
そのため、近隣住民との話し合いがまとまらないケースも多く、申請しても許可が下りない可能性もあります。汎用性が高いとはいえない裏ワザのため、あらかじめ自治体に問い合わせて要検討を確認してから検討してください。
市街化調整区域内でも再建築を可能にする裏ワザ・抜け道
市街化調整区域内にあることが再建築不可の原因になっている場合、敷地や建物に手を加えるだけでは、工事可能な状態にはなりません。
といっても、市街化調整区域にある物件は、手の施しようがないわけではありません。法律の抜け道を利用すれば、市街化調整区域内でも、再建築できるようになります。
市街化調整区域に指定されている土地で使える裏ワザは以下の3つです。
- 自治体に建築許可を取る必要がある
- 建築許可が出る主な条件
- 建築許可申請の具体的な手順
市街化調整区域内であっても再建築ができる裏ワザとは、簡潔にいうと自治体による建築許可をクリアできる要件を備えた物件を建てることです。通常であれば、市街化調整区域内では自由に建築できません。
しかし、ルールの特例を理解しておけば、リフォームだけではなく建て替えも可能です。それぞれのプロセスを解説します。
自治体に建築許可を取る必要がある
再建築やリフォームを行う際には、自治体に建築確認を申請し、許可を取る必要があります。しかし、市街化調整区域では、建築確認のまえに開発行為に関する許可の要否をチェックしなければなりません。
開発行為とは、建築前の土地整備や舗装の工事のことです。開発行為にあたる建築工事の際には、都道府県知事へ許可を申請する必要があり、審査に通らなければ建築確認の申請ができないことが定められています。
第四十三条 何人も、市街化調整区域のうち開発許可を受けた開発区域以外の区域内においては、都道府県知事の許可を受けなければ、第二十九条第一項第二号若しくは第三号に規定する建築物以外の建築物を新築し、又は第一種特定工作物を新設してはならず、また、建築物を改築し、又はその用途を変更して同項第二号若しくは第三号に規定する建築物以外の建築物としてはならない。
引用:都市計画法第43条|e-Gov法令検索
しかし、市街化調整区域における建築制限には、都市計画法第34条において、建築の例外規定が設けられています。規定されている内容は自治体ごとにさまざまですが、基本的に地域の商工業や農林漁業の振興におけるニーズの有無が重視される傾向です。そのため、不動産に関するスキルやノウハウを持たない一般の方が運用するのは難しいでしょう。
なお、先述した駐車場のほか、太陽光発電設備の建築の場合には開発許可が不要です。しかし、工事において切土や盛土などの造成をともなう場合は、建築確認申請が必要になります。立地による収益の差が極めて大きい点も考慮すると、駐車場や太陽光発電設備などに土地を利用する方法は、期待できる利益に対してリスクが大きすぎるでしょう。
とはいえ、個人が市街化調整区域に指定されている土地の再建築やリフォームは一切できないのかというと、実をいうとそうではありません。同法第34条13号では、下記のとおり規定されています。
十三 区域区分に関する都市計画が決定され、又は当該都市計画を変更して市街化調整区域が拡張された際、自己の居住若しくは業務の用に供する建築物を建築し、又は自己の業務の用に供する第一種特定工作物を建設する目的で土地又は土地の利用に関する所有権以外の権利を有していた者で、当該都市計画の決定又は変更の日から起算して六月以内に国土交通省令で定める事項を都道府県知事に届け出たものが、当該目的に従つて、当該土地に関する権利の行使として行う開発行為(政令で定める期間内に行うものに限る。)
引用:都市計画法第34条|e-Gov法令検索
つまり、もともと住宅として使用している土地・家屋なら、建築確認を申請して通過できればリフォーム工事や建て替えが可能です。建築許可が下りる条件について、以下でくわしく確認していきましょう。
建築許可が出る主な条件
例外となる条件にはさまざまなものがありますが、主に次のとおりです。
- 土地の所有者およびその親族が住宅にしている
- 当該エリアが市街化調整区域に指定される前から建っている
- 当該エリアに20年以上住んでいる親族がいる
- 築20年を超える中古住宅の購入
- 公共工事による立ち退きにともなう移転
総合的にみて、市街化調整区域においては、既存の物件のリフォームであれば、比較的スムーズに申請がとおりやすいといえます。
しかし、宅地とは関係のない用途で使用していた土地への新築は認められづらいでしょう。
また、リフォームであっても、原則として従来の用途を変更することや、規模が大きく変わる工事はできません。自治体によっても判断は異なりますが、コツを知らないと再建築ができないため、注意が必要です。
建築許可申請の具体的な手順
市街化調整区域における建築許可を申請する手順は、下記のとおりの順序で進めましょう。
- 自治体に事前相談書を提出する
- 事前相談内容の審査・結果通知
- 必要に応じて開発許可の申請・審査および決定
- 建築確認を申請する
まず、自治体の住宅建築に関する担当課に、建築行為の「事前相談書」を提出します。事前相談書とは、建築確認に関する不明点をまとめたシートのことです。
既存の物件の情報や施工内容などの必要事項を記載し、担当者に提出してください。自治体によっては添付書類が必要だったり相談が予約制だったりすることもあるため、あらかじめ電話で問い合わせておくほうがよいでしょう。
相談内容から、自治体が独自の基準で開発許可の要否を確認し、結果が決まれば通知がきます。なお、確認から通知までには、1週間程度はかかるでしょう。開発許可が不要と認定された場合は、そのまま建築確認の申請に進みます。
一方、開発許可が必要となった場合は、その申請を行ってからでなければ建築申請ができません。申請した開発許可は、自治体による事前協議や開発審査会による審査を経たうえで決定されます。開発許可が下りれば、通常どおり建築確認の申請へと進んでください。
再建築不可物件の活用は一般の個人には難しい
これまでの解説で言及してきたように、再建築不可の土地や物件に手を加えて活用するためには、専門知識とテクニックが欠かせません。
また、リフォーム費用がかさみがちな点も、再建築不可物件が活用しにくい理由の一つです。
また、裏ワザで再建築不可を運用資産とし、収益化するためには、自らの手腕ではどうしようもない外的要因や運も深く関わっています。場合によっては、経営赤字が続き、立ち行かなくなるばかりか初期費用の回収すら困難になりかねません。
土地の所有者としては、今後も関わっていく近隣住民とのトラブルもできる限り避けたいところでしょう。しかし、再建築不可の裏ワザを使うために交渉したことをきっかけに、関係がこじれるケースもめずらしくありません。
さらに、各種申請に必要な書類や事前相談書の作成も煩雑であり、専門家に依頼すると費用がかかります。
総合的に考えて、再建築不可物件を活用したり収益につなげたりするのは、一般の個人単位で行うにはハードルが高すぎるため、やめておいたほうがいいでしょう。
再建築不可物件は専門の不動産買取業者に直接売却するのも手
個人では活用しきれない再建築不可物件を所有している場合は、専門の不動産買取業者に任せてしまうのも一つの手です。
再建築不可の買取を専門とする不動産業者に依頼すれば、次の3つのメリットを得られます。
- メリット1 そのままの状態で問題なく売却できる
- メリット2 最短数日でスピーディに売却できる
- メリット3 売主の契約不適合責任が免責される
専門の不動産買取業者に依頼すれば、再建築不可物件でも売主が費用をかけることなくまとまった現金を迅速に手にできるうえ、安心感のある取引が可能です。各メリットの詳細を確認していきましょう。
なお再建築不可物件に強い専門の不動産買取業者について詳しく知りたい方は、以下の記事をぜひお読みください。
メリット1 そのままの状態で問題なく売却できる
不動産買取の専門業者であれば、リフォームや修繕などの手を加えることなく、そのままの状態で売却できます。自らの手でリフォームするのが難しいのは、これまで述べてきたとおりです。
しかし、不動産仲介を主に取り扱う不動産業者では、買い手がつきにくい再建築不可物件は安く買い叩かれる傾向があるうえ、買取を拒否されるケースもあります。
再建築不可物件の買取実績の多い不動産業者なら、運用のノウハウを熟知しているため、適正価格での売却が可能です。建築確認や各種申請にかかるわずらわしい手続きおよび書類の作成も一任できるうえ、ミスや不備の心配がありません。
もちろん、内覧のためのリフォームや来客対応も不要です。不動産業者が直接買い取るため、仲介手数料を支払う必要がない点もメリットだといえます。
再建築不可に特化した専門の不動産業者である「訳あり物件買取プロ」は年間3,000件以上の相談実績からくる豊富な物件の活用ノウハウを有しており、築年数の経過した物件も積極的にそのままの状態で買い取ってくれます。是非無料相談を受けてみてください。
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メリット2 最短数日でスピーディに売却できる
不動産買取業者への売却は、仲介と比べ、現金化までの期間が非常に短いことが特徴です。仲介では、不動産の買い手や借り手がつくまでに時間がかかるため、早くても数ヶ月、場合によっては年単位の時間がかかるでしょう。そのうえ、時間をかければ必ず売れるとは限りません。
買取なら、双方の合意があれば、その場ですぐ売買の契約が締結されます。提示された査定額でそのまま買い取られることが多く、予定が立てやすいでしょう。現金化も最短数日、条件が合えば即日でも可能です。再建築不可物件をとにかく早く売りたい方には、不動産買取業者への売却がぴったりの手段だといえます。
ちなみに当サイトがオススメする「訳あり物件買取プロ」では、最短即日の査定結果通知、最短3日での現金化が可能です。
メリット3 売主の契約不適合責任が免責される
買取専門の不動産業者の売却すれば「契約不適合責任」を負う心配がありません。契約不適合責任とは、契約内容との相違や契約後に重大な欠陥が見つかった際に売主が責任を負わなければならないというルールであり、以前は「瑕疵担保責任」と呼ばれていました。
買取では、大半のケースにおいて、売却後に別途料金の支払いが発生することはありません。
不動産の瑕疵は、対応に費用がかかるだけではなくトラブルに発展しやすい問題です。不動産買取業者が相手であれば、取引上のトラブルを最小限に抑えられるため、安心して売却できるでしょう。
まとめ
再建築不可でも、法律の抜け道をうまくつき、活用もしくは収益化する裏ワザが存在しています。
再建築ができない理由が「接道義務の不備」か「市街化調整区域指定」かによって使える裏ワザが異なりますが、いずれも建築関係の法律の知識とコツが必要です。ノウハウのない一般人では、再建築不可の裏ワザを活用しきれないこともめずらしくありません。
とはいえ、再建築不可の使いづらい土地や物件は、利便性および収益性の低さから買い手がつきにくいため、買い叩かれたり売却できなかったりすることがあります。老朽化による倒壊や事故、近隣住民への迷惑などのリスクを考えると、そのままにしておくわけにもいきません。
再建築不可物件を最大限に活用する方法をお探しの方は、不動産買取業者への売却をおすすめします。通常の売却や仲介でスムーズに買い手がつくようにするためには、事前のリフォームが必須といっても過言ではありません。
しかし、不動産買取を専門に取り扱う業者に直接売却すれば、何の手を加えずとも買い取ってもらえます。
煩雑な手続きを自ら行う必要もなく、売却金額の現金化も非常にスピーディーです。契約不適合責任もないため、契約後の出費の心配もいりません。
再建築不可物件の買取が気になっている方は、「訳あり物件買取プロ」までお知らせください。他社では仲介・買取を拒否されるような土地・物件でも、よろこんで買い取らせていただきます。
そもそも、再建築不可物件についてよくわからない方や、まだ売却するかどうかを決めていない方からのお問い合わせも大歓迎です。長きにわたって訳ありの物件を買い取ってきた実績やノウハウをもとに、最善の方法をご提案いたします。
全国どこでも無料で出張査定いたしますので、ぜひお気軽にご相談ください。
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