「家の築年数が古くなってきたけど、どうやら法律上建て替えはできないらしい…」
「でも、地震による倒壊リスクは怖いから、耐震補強くらいならできるのだろうか?」
結論、建築基準法などの法令に適合せず、家屋の建築ができない土地でも、建物の耐震工事は行えます。
ただし、再建築不可の場合は耐震工事できる範囲が制限されているため、むやみに工事を行うかきめるのはお勧めできません。
そこでこの記事では以下の内容を解説します。
- 再建築不可物件に耐震補強できる範囲
- 再建築不可物件に耐震補強を行うメリット
- 耐震補強にかかる費用や注意点
この記事をお読みいただければ、メリットも注意点も踏まえた上で耐震補強を行うか判断できます。ぜひ参考にしてください。
再建築不可物件は耐震性能が低い傾向にある
再建築不可物件とは、主に昭和25年(1950年)の建築基準法制定や昭和43年(1968年)の都市計画法制定より前に建てられた物件を指します。これらの物件は、建築基準法の接道義務に適合しないため再建築が認められませんが、既存の物件として住み続けることは許可されています。
築40年、50年以上が経過した古い建物が多いため、耐震性や耐火性に現代の基準と比べて劣ることが一般的です。
築年数が古い上に再建築ができないため、耐震補強やリフォームなどで安全性を向上させる、あるいは更地にして貸地として活用するなどの選択肢が考えられます。
再建築不可物件でも耐震補強できる
法令に適合せず建て替えができない再建築不可物件ですが、耐震補強の工事は行えます。ただし工事可能な範囲には制限があります。
この章では、以下の2点を抑えておきます。
- 耐震補強可能な範囲
- 耐震補強の工事を施すメリット
耐震補強可能な範囲
再建築不可でも「建築物の主要構造部となる部分の1/2以内の範囲」でなら耐震補強の工事ができます。
再建築不可物件とは、建築基準法などの法令に適合しない物件であり、修繕工事を行う前に必要な「建築確認申請」を通過できません。ただ、上記した範囲内の工事であれば、建築確認申請が不要なため耐震補強が可能です。
特に、多くの再建築不可物件は「4号建築物」として分類され「建築確認申請」をせずに工事が行えます。
4号建築物の条件としては、「木造の2階建て以下、延床面積が500㎡以下、高さ13m以下、軒の高さ9m以下」または「非木造建築の1階建て、延床面積200㎡以下」の建物が該当します。
再建築不可物件に修繕工事ができる範囲は以下の記事で、より詳細に解説しているので気になる方は参考にしてください。
耐震補強の工事を施すメリット
再建築不可物件に耐震補強リフォームを施す最大のメリットは、住人の安全を守ること。耐震補強により、地震時の倒壊や損傷リスクを大幅に軽減し、「大きな地震が来たらどうなるだろう」という不安から解放されます。
また、リフォームの際に内装や間取りを変更することで、住み心地を向上させることができ、新築物件に近い環境を享受することも可能です。
加えて、耐震補強を行うことは、物件の価値向上にも繋がります。老朽化が進んでいる再建築不可物件の場合、買い手が見つからず売れないおそれがありますが、耐震補強を実施することで、その物件の売却チャンスを増やすことができるのです。
ただ、耐震補強工事にはそれなりの費用がかかります。そのため、リフォームするか、物件を売却して新しい住まいを検討するか、という選択は慎重に行う必要があります。総予算や将来のライフプランを考慮して、最適な選択を下すことが大切です。
再建築不可物件の耐震補強にかかる費用
再建築不可物件に耐震補強を施すメリットをお伝えしました。ただ、耐震補強の工事を行うには、一般的に数百万円以上の費用がかかる上、再建築不可の場合工事費用が高騰する恐れもあります。
この章では以下の内容を解説します。
- 耐震補強の一般的な費用相場
- 接道状況によって工事費用が高騰する恐れがある
- リフォームローンや自治体の補助金が利用できる
一般的な費用相場
修繕費用は物件の面積、状態、そして施工内容によって大きく変動します。具体的な工事費用を知るためには、実際に工務店やリフォーム業者に見積もりを依頼するのが最も確実です。
部分的なリフォームの場合、数百万円程度で可能なこともありますが、耐震補強を含むフルリフォームの場合、1,000万円から2,000万円の費用がかかることが一般的です。
また、大規模なリフォームを計画する場合、工事期間は6ヵ月~8ヵ月程度を想定すると良いでしょう。もし工事中に家を使用できない状況となる場合、仮住まいの準備も必要となりますので、その点も計画に考慮する必要があります。
以下のフォームからリフォーム工事の見積もりが無料でできるので、まずは相談してみてください。
接道状況によって工事費用が高騰するおそれがある
再建築不可物件のリフォームは、一般的な物件に比べて費用が高くなる傾向があります。
その理由として、接道義務を満たしていない物件では、大型の重機や資材輸送トラックが敷地内に入れないことが多いです。この制約により、多くの作業を手作業で行う必要が生じ、それが人件費の増加や工事期間の延長となり費用が高騰してしまうのです。
さらに、再建築不可物件は隣接する家との間隔が狭いため、通常の足場を設置するのが困難な場合があります。このような状況では、特別な方法で足場を組む必要があり、それに伴い追加の費用が発生します。
リフォームローンや自治体の補助金が利用できる
古い住宅、特に再建築不可物件の耐震補強工事には、多くの自治体で助成金や補助金制度を提供しています。
例えば、東京都新宿区では再建築不可物件の耐震補強工事に対し、最大で費用の8分の3(上限150万円)から10分の3(上限75万円)の助成金を受けることができます。同様に、東京都江東区でも工事費用の1/2、上限150万円の助成が提供されています。
一方、助成金だけでは予算の捻出が難しい場合、金融機関のリフォームローンの利用を検討するのも一つの手段です。
再建築不可物件でも、住宅ローンとは異なり、無担保のリフォームローンは利用しやすいです。物件を担保にするタイプのローンは再建築不可物件の売却価格の低さから難しいことが多いですが、無担保型のローンなら、借主の信用が良ければ融資を受けられることが多いです。
実際、再建築不可物件のリフォームに対して融資実績のある金融機関も存在しますので、適切な相談をしてみると良いでしょう。
再建築不可物件のローン契約については以下の記事で解説しているので参考にしてください。
参照:広報新宿「第2119号」
再建築不可物件に耐震補強を行う注意点
前述した通り、再建築不可物件は接道している道路が狭い場合や奥まった場所に存在することが多く、工事用の重機のアクセスが困難です。結果として人力に頼る部分が増えることから、工事費が割高になることが多いです。場合によっては工事を実施できないと断られるリスクも考慮する必要があります。
さらに、再建築不可物件は建物が古いため、工事を進行させていく中で予期しない問題に直面することも少なくありません。
具体的には、シロアリ被害が発見され防虫施工が必要になるケースや、柱や梁が腐っており、補強や交換が必要になるケースがあります。これらの予期せぬ問題は、最終的に見積もりの金額を超える追加費用として発生する可能性があります。
工事の範囲や内容によっては、工事費用が極端に高額になることも考えられます。そのため、新築の住宅を購入する方が経済的に有利な場合も存在します。
このような点を踏まえ、再建築不可物件のリフォームや耐震補強工事を検討する際には、費用と効果のバランスをしっかりと評価し、最適な選択を行うことが必要です。
活用しない再建築不可物件は専門業者に相談して売却するのも手
もし再建築不可物件を今後活用する目的が定まっていないのであれば、安易に耐震工事を施すのはやめておきましょう。売却して現金を受け取り、新たな住居を購入した方が賢明な場合も少なくありません。
再建築不可物件を手早く手放したい場合、専門の買取業者に依頼することをおすすめします。なぜなら、建て替えができないという特性から、一般の個人が「終の棲家」として選ぶことはほとんど考えられません。
このため、一般の市場では買い手がつきにくく、価格をどれだけ下げても売れ残るリスクが高まります。
しかし、専門の買取業者は再建築不可物件を利益を生み出す商品として適切に活用する方法を熟知しています。
例えば、業者はリフォームを行った後、投資家に賃貸物件として提供します。賃貸としての運用では、建て替え不可というデメリットが大きな問題とならず、投資家も安価な投資額に見合う家賃収入を期待できるため、再建築不可物件にも関心を持つケースがあります。
このような特性を持つ専門業者だからこそ、再建築不可物件でも適切な価格での買取が期待できます。売却を考えている方は、複数の業者に査定を依頼し、最も適切な条件を提案してくれる業者を選ぶことが大切です。
再建築不可物件を専門に取り扱う買取業者は、以下の記事で徹底比較をしているので、気になる方は以下の記事を参考にしてみてください。
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まとめ
この記事では再建築不可物件の耐震補強工事について、メリットや費用感、注意点について解説しました。
築年数が4、50年以上経過していることが多い再建築不可物件は、倒壊のリスクも高く、耐震工事を施しておくべきといえます。
耐震リフォームの費用は、物件の規模や建物の状況によって変わるのでリフォーム業者の見積もりを依頼しましょう。
ただ、再建築不可物件は接している道路が狭いことが多く、工事費用が高騰しがちです。活用する予定のない再建築不可物件は売却して、現金化してしまうのが賢明です。
もし再建築不可物件を高額で売却したいのであれば、専門の不動産業者に買い取ってもらいましょう。
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