「相続した不動産が再建築不可物件で活用できない」
「民泊として活用すれば不労所得になると聞いたが、注意点はあるだろうか?」
接道状況などから法令に適合しておらず、建て替えできない再建築不可物件でお困りの不動産所有者様は数多くいらっしゃいます。
そこで、近年注目を集めている旅行者に短期で住宅を貸し出す「民泊ビジネス」であれば収益化できるのではないかと気になっているでしょう。
ただ、再建築不可物件も用いた民泊経営は、災害時の倒壊リスクが高いことや修繕費が高騰するといった注意点もあるため慎重に決めるのが賢明です。
そこでこの記事では、再建築不可物件の民泊活用について、以下の内容を解説してまいります。
- 再建築不可物件を民泊として活用できる条件
- 民泊経営を開始する際の手続き
- 再建築不可物件を民泊活用する際の注意点
この記事をお読みいただければ、正しい知識も持って民泊経営を行うか決断できるようになります。
再建築不可物件でも民泊として活用できる
建物を新築する際、接道義務をクリアしないと、建て替えが許されない「再建築不可物件」となります。結論、この再建築不可物件でも「民泊業を行うことは可能」です。
なぜなら、民泊を取り決める法律(民泊新法)には、「再建築不可の物件では民泊が禁止」という条文は存在しないからです。
再建築はできない物件でも、民泊のルールを守れば運営することができます。
民泊には3つの種類がある
まず民泊と一口に言っても、法律上異なる以下3つの種類があるので、そこから簡単に説明します。
- 特区民泊
- 旅館業による民泊
- 住宅宿泊事業による民泊
特区民泊
「国家戦略特別区域法」という法律が2013年に成立しました。これは、増え続ける外国人観光客を受け入れるためのもので、特定の地域だけで民泊の規制を緩めることを可能にした法律です。そして、この特定の地域では、自治体が独自の民泊に関するルールを作ることが許されています。
例えば、東京都や神奈川県、仙台市、新潟市、成田市、愛知県、大阪府、兵庫県、京都府、福岡市、北九州市などが、この特別な地域(特区)に指定されています。
それぞれの地域が作った民泊のルールに基づき運営される民泊を「特区民泊」と呼んでいます。
旅館業による民泊
これまでのホテルや旅館などの宿泊施設は「旅館業法」の下で運営されていました。この中に「簡易宿所営業」というカテゴリーがあり、特定の条件をクリアした民泊がこれに分類されます。
具体的には、「部屋の床面積が33㎡以上であること」や「しっかりとした換気・採光・照明や湿気対策、排水設備が整っていること」などの条件を満たす必要があります。
また、この「簡易宿所営業」のカテゴリーには、カプセルホテルや民宿、スポーツ合宿場なども含まれています。
住宅宿泊事業による民泊
2018年6月に施行された「住宅宿泊事業法」(通称:民泊新法)に基づき、普通の住宅を宿泊施設として利用することが公式に認められました。
この法律は、我が国における観光旅客の宿泊をめぐる状況に鑑み、住宅宿泊事業を営む者に係る届出制度並びに住宅宿泊管理業を営む者及び住宅宿泊仲介業を営む者に係る登録制度を設ける等の措置を講ずることにより、これらの事業を営む者の業務の適正な運営を確保しつつ、国内外からの観光旅客の宿泊に対する需要に的確に対応してこれらの者の来訪及び滞在を促進し、もって国民生活の安定向上及び国民経済の発展に寄与することを目的とする。
引用:e-Gov法令検索「住宅宿泊事業法」
簡単に言うと、この法律は日本の観光状況を考慮し、住宅を宿泊施設として使う事業者にルールを設けました。その目的は、旅行者の宿泊ニーズに適切に応え、観光を推進し、経済や国民の生活を向上させることです。
この法律のもと、一軒家やマンション、アパートなどでの民泊が許可されています。主に2つのタイプに分けられます。
- 家主居住型(ホームステイ型):これは家主がその場に住んでいる形式の民泊です。たとえば、自分の住んでいる家の一部屋を旅行者に提供するスタイルです。
- 家主不在型:こちらは、家主が別の場所に住んでいて、専門の管理者が民泊を運営する形式です。自分の住んでいる場所以外の物件を宿泊施設として提供するスタイルがこれに当たります。
基本的に再建築不可物件の場合は民宿新法に基づく経営になる
旅館やホテルを開業するには、「特殊建築物」としての要件を満たす必要があります。この「特殊建築物」の基準は建築基準法で明確にされています。
さらに、多くの自治体では、この法律よりも厳しい条件を追加で設けています。
具体的に、東京都の場合を見ると、建物の床面積に応じて以下のような接道義務が定められています
- 500㎡以下 → 4m以上の道路に面していること
- 501㎡〜1000㎡ → 6m以上
- 1001㎡〜2000㎡ → 8m以上
- 2001㎡以上 → 10m以上
通常の建築基準法だけだと2mの接道義務なので、自治体の要件はかなり厳しいと言えます。
このため、これらの接道義務を満たしていない建物(再建築不可物件)でのホテルや旅館の営業は困難なため、民泊としての利用は「住宅宿泊事業法」に従って行われることが一般的です。
参照:東京都建築安全条例
再建築不可物件で民泊を運営できる3つの条件
民泊経営を始めるためには「住宅宿泊事業法」上、以下3つの条件を満たしている必要があります。
- 営業日数が1年間に180日以内
- 家屋が住宅としての設備を備えている
- 衛生面・安全面への配慮がされている
営業日数が1年間に180日以内
住宅宿泊事業法によると、民泊を運営する日数の上限は1年間で180日です。これはなぜかというと、民泊の建物は「住宅」として使うことを前提としています。
もし、1年の半分以上、つまり182日以上宿泊客を受け入れることになると、その建物はもはや「住宅」ではなく、旅館やホテルとして見られる可能性が高まります。
そのため、民泊を「住宅」として扱い続けるためのルールとして、1年間の営業日数を180日に制限しているのです。
家屋が住宅としての設備を備えている
民泊を開業するには「住宅宿泊事業法」に基づいて、その場所が「住宅」として適切である必要があります。
具体的には、生活をするのに必要なもの、例えばキッチン、洗面所、お風呂、トイレなどがちゃんと備えられていることが条件です。ただベッドがあるだけの部屋は、民泊としては認められないのです。
衛生面・安全面への配慮がされている
民泊を運営する際には、宿泊者が快適かつ安全に滞在できるよう配慮することが大切です。
そのため、部屋の定期的な掃除はもちろん、夜間や緊急時のための非常照明、火事の際に速やかに知らせる火災報知器の設置、そして避難の際のルートを示す表示などが必要とされています。
民泊運営を始めるために必要な手続き
民泊経営を始めるための手続きの流れは以下のとおりです。
- 自治体ごとの条例を確認する
- 自治体への提出書類を準備する
- 審査結果を待つ
自治体ごとの条例を確認する
民泊を始める前に以下のステップを踏む必要があります
- 自治体のルールチェック:始めたい場所の自治体のホームページ等で、民泊に関するルールや制限を確認してください。自治体によっては独自のルールがあることもあります。
- 住宅宿泊事業届出書の取得:この届出書は自治体の窓口や観光庁のサイトでダウンロードや受け取りができます。
- 消防法令適合通知書の準備:民泊を安全に運営するためには、この通知書が必要です。最寄りの消防署で取得できます。
要するに、民泊を運営するためには自治体のルールを理解し、必要な書類を準備する必要があります。
自治体への提出書類を準備する
民泊を開始する前に、必要な書類を自治体窓口に提出する必要があります。申請には以下の書類が求められます
書類名 | 概要 |
---|---|
届出書 | この中には、あなたの名前や住所、民泊として使う住宅の住所や不動産番号、そして管理業者の名前などの情報を詳細に書きます。 |
破産手続に関する証明書 | 市町村長の発行する、破産手続中でないという証明です。 |
欠格事由に関する誓約書 | 適格であることを誓約する文書。 |
住宅の登記事項証明書 | 住宅の正式な登録情報を証明する書類。 |
入居者募集に関する証明書 | その住宅が入居者の募集をしているかの証明。 |
所有者等の居住に関する証明書 | 住宅が所有者や賃借人、転借人に居住用として使われていることを示す書類。 |
住宅の図面 | 住宅の設計図や間取り図。 |
これらの書類をしっかりと準備し、自治体の窓口に提出することで、民泊としての営業が可能となります。
審査結果を待つ
民泊を始めるための「住宅宿泊事業届出書」を提出した後、約2週間でその審査の結果が通知されます。
結果が承認なら、その手続きは完了です。ただ、必要な書類の準備や書類作成はちょっと煩雑かもしれません。
分からないことや不安点があれば、行政書士などの専門家にアドバイスを求めるのがおすすめです。
再建築不可物件で民泊経営を始める注意点
ここまで再建築不可物件で民泊経営を始める際の手続きを紹介してきました。ただ、民泊経営を始めるリスクもあるため、慎重に判断する必要があります。
再建築不可物件で民泊経営を始めるリスクは以下のとおりです。
- 地震などの災害による倒壊リスクが高い
- 修繕費などの初期投資が高額になりやすい
- 経営が悪化しても売却処分が難しい
上記のリスクを把握して、再建築不可物件で後悔しないようにしてください。
地震などの災害による倒壊リスクが高い
再建築不可物件の多くは建築当初は法令に適合していたが、建築基準法などの施工・改正によって、適合しなくなってしまった土地です。(既存不適格物件といいます。)
建築基準法で接道義務が定められたのは「1950年(昭和25年)から」ですので、築50年以上は経過している建物が大半を占めます。
そのため家屋の老朽化も進んでおり、地震や火災などの災害で倒壊しやすいというリスクを抱えています。仮に倒壊してしまったら新しく建物を建てることができないので、活用も売却もできずに途方に暮れてしまう方もいらっしゃいます。
修繕費などの初期投資が高額になりやすい
民泊経営を始めると、最低限人が宿泊できる状態に家屋を保つ必要がありますので、定期的な修繕コストがかかります。
しかし、再建築不可物件は通常の不動産に比べて、修繕費用が高騰しがちです。土地が道路に十分接していないので、修繕工事に必要な車両が侵入しづらくその分人件費等のコストがかさむためです。
通常の不動産よりもランニングコストが高くつくため、収支が合わず赤字状態になってしまう方も少なくありません。
経営が悪化しても売却処分が難しい
もし民泊経営がうまく軌道に乗らず赤字状態になってしまった場合、再建築不可物件だと売却して手を引くことが難しいです。
今ある建物を取り壊したら新しい建物が建てられない再建築不可物件は、一般個人の住宅としての需要が少なく、買い手が見つからないためです。
そのため、物件を手放せず延々と赤字を膨らませるしかなくなってしまう恐れもあるのです。
もし再建築不可物件の活用が難しくても、専門の不動産買取業者に相談すれば問題なく売却することができます。専門業者であれば住宅以外にも再建築不可物件の活用ノウハウがあるので、適正価格で売却できます。
当サイトがおすすめしている「訳あり物件買取プロ」では、高額で再建築不可物件の買取を行なっているので、まずは無料査定を受けてみると良いでしょう。
\【高額査定を強化中!】このタイミングで金額を調べておこう!/
>>【たった30秒で入力完了!】
無料で訳あり不動産の高額査定を試す
「複数業者を見てみた上で、相談先を決めたい」と言う方は、以下の記事で再建築不可物件に強い専門業者を比較しているので、参考にしてください。
まとめ
この記事では再建築不可物件で民泊経営をする方法や注意点について解説しました。
結論、再建築不可物件でも民宿新法などの法令上の条件を満たせば、民泊経営を始めることが可能です。
ただ、再建築不可物件には災害時の家屋の倒壊や、修繕費用などのランニングコストの高騰など経営を続けるリスクがありますので、慎重に判断する必要があります。
もし経営を黒字で続ける自信はないけど、活用できない不動産を持ち続けることもできないという場合は、再建築不可物件専門の不動産業者に相談しましょう。
専門の不動産買取業者であれば一般の買い手に売れない再建築不可物件でも、適正価格でも売却が可能です。
当サイトがおすすめしているのは「訳あり物件買取プロ」という不動産業者です。再建築不可物件などの訳あり不動産の相談実績が年間5,000件以上あります。
以下のフォームから無料で高額査定を受けられますので、気軽に連絡してみてください。
\【高額査定を強化中!】このタイミングで金額を調べておこう!/